南インドケララで何軒も家を訪問して不思議に思ったことがあります。
どの家も必ず台所が2つあるのです。
2つの台所は隣あっているものの、しっかり壁で隔たれていて、不可解。
動線としては使いにくそうな、あっちこっち歩いて疲れそうな作りです。
それだからか一つはあんまり使ってない様子の家が多い。
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泊まらせてもらった友人の家。ケララ州・アティンガルという小さな街にて。
その謎がある日、解けました。
一つは肉や魚を調理する台所で
一つは、ベジタリアン調理用の台所なのだそう。
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メインで使っている台所はベジタリアン料理用。奥の部屋が肉用の台所
建物の造りは、
玄関を入って正面突き当り奥が台所で、真後ろに庭がある
という構造の家が多い印象。
庭に繋がっている方が魚や肉用の台所で、内側がベジタリアン料理用。
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奥の肉用の台所は物置になっている様子
どの家でもあまり使われていない様子だったのは、肉魚用の方でした。
庭にも水道があったりしたので、お肉お魚はそこで洗ってるのか。
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現在でもどの家庭にも石臼がある。
ある家では庭で魚を洗っているところを見て、
ある家ではベジタリアン用の空間で魚を料理しているところを見ました。
現代人はあまり気にしないのかもしれませんね。
でもベジ料理とノンベジ料理の境目が日本よりはっきりしていることは確実です。
日本人が食べ物にかつお節や豚のエキスが入っているのかを気にしないなんて、インド人は想像もできないでしょう。
宗教的な理由、長い文化の中で出来上がった常識、
いくつか理由はありそうですが、
理由の一つに、目にする動物性食品が、より動物らしいことがあるんじゃないかなと思います。
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市場の魚屋さん。臭いはご想像の通り
肉や魚は日本のようにパックに入って売っているわけではなく、
もっと生生しいので、命をいただく意識が強いと思います。
自分はなんて獰猛なんだと悲しい気持ちにもなります。
市場でそうやって買ってきた動物を
外で洗いたい気持ちもわかるし、
調理空間も、きっと調理器具も分けたくなるのもわかる気がします。
大学時代に読んだこの本を読み返したくなりました。
動物と人間との生活空間の距離が、どの動物をどの程度食べるかに影響する…みたいなことが書いてあったような…
そんな事を考察してあった記憶はあるんだけど、
日本は家畜との距離が近いのか遠いのか、近いと沢山食べるのか、逆なのかさえ忘れてしまいました。
もう一度読めば、何かインド人の採食と肉食の文化について理解が深まるかもしれないな、と思います。
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肉食用の台所。ケララ・アレッピ―の田舎のお家にて
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古代風のかまどの上に、現代のガスコンロを置いている。肉食用の台所。 ケララ・アレッピー田舎の別のお家にて。
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上のお家のベジタリアン料理の方の台所
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上のお家のお庭。この勝手口を入ると台所。
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築80年のお家。かまども現役で、お米は薪で炊いているそう。ケララ・プラバチャンバラムという田舎の村にて
2017年5月27日 at 9:53 AM
台所事情、興味深いね。
最後のかまど、何人のお腹を満たして来たんだろう。誇らしそう。
子供の頃、台所で、料理前の生肉を初めて触った時の複雑な気持ちを今でも忘れられません。
ちょうど友人と鰹節の話をしたところです。和食のだし、うどんやそばにも、じつは鰹節が入っているって、外国から来たベジの人は混乱するだろうねー。って。